20代のほとんどをアルバイトで過ごした。
月収は10万円をわずかに超えるくらいだったか、今となっては正確に思い出せない。
20代後半からは、その収入だけで生活していた。大学時代から住んでいたアパートにそのまま住み続けた。家賃を抑えられたのは大きかった。
友人も恋人もいなかった。車も持っていなかった。行動範囲は狭く、娯楽といえば公立図書館、レンタルビデオ店、本屋くらいだった。たまにバッティングセンターやゲームセンターに寄ることもあったが、本当にたまにだ。
ギャンブルもアルコールも、夜の娯楽にもお金を使わなかった。
ファッションには少し興味があった。ユニクロは当時恥ずかしかった。かといってブランドは買えない。自転車で少し遠くの、安いけど人と被りにくそうな服屋で買っていた記憶がある。
保険はアパートの火災保険と医療保険だけだった。学長の考えでは、医療保険も不要だったということになる。(笑)
将来のための貯金は考えていなかった。悲観的な未来しか見えていなかった。明日のアルバイトをこなすことで精一杯で、先のことを考える気力がなかった。追い詰められるほどではなかったが、最低限の貯金があるだけだった。
今振り返ると、あの頃のお金の使い方は質素だった。しかしそれは節約の意識からではなく、ただ使う理由も使う相手も場所もなかっただけだ。性格もあったのだろう。学長が言う「守る力」だけは、当時から自然と備わっていたのかもしれない。
お金がないことより、自分の居場所がどこにもないような感覚の方がずっと重かった。
筆者:みねと|遠回りした50歳の「仕事」と「お金」

